ビジネスマナーは、社会人として仕事を円滑に進めていくために欠かせないスキルです。
しかし、「何がマナーで、どんな行動が失礼にあたるのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
テレワークが普及する現代では、企業のビジネスマナーが複雑化しており、研修の在り方を模索する管理社員も増えています。
本記事は、新入社員が身につけるべきビジネスマナーの基本やテレワークの研修事例を解説しています。ビジネスマナーを習得し、職場や取引先との信頼関係を構築していきましょう。
こんな方におすすめ
✓ ビジネスマナーやテレワークマナーの基本を学びたい社会人
✓ 上司や部下、取引先との関係性を強化しビジネスを成功させたい方
✓ 効果的なビジネスマナーの研修事例を知りたい管理社員
ビジネスマナーとは

ビジネスマナーとは、職場や取引先で円滑なコミュニケーションを図るための礼儀作法です。具体的には、挨拶や言葉遣い、身だしなみ、時間厳守など相手に不快な印象を与えない言動を指します。
これらのマナーを守ることは、個人や組織への信頼を築く基盤であり、企業のパフォーマンス向上に寄与する重要な要素です。
ビジネスマナーはなぜ重要なのか?

デジタル技術の発展やグローバル化が進む現代では、ビジネスマナーの重要性が益々高まっています。その背景には、以下の理由があります。
信頼関係を構築できる
ビジネスは、異なるバックグランドを持つ人々や社会との協力で成り立っています。ビジネスマナーは相手への敬意や思いやりを示す行為であり、信頼関係を築くための手段です。
取引先との関係性を深めることができれば、長期的なパートナーシップの構築に繋がります。
社内連携を強化させる
職場では、上司や同僚、部下など多くの人と連携を取りながら業務を進めます。社内のチームワークを強化するには、共通のマナーを守り人間関係の摩擦や誤解を防ぐことが大切です。
これにより、情報伝達がスムーズになり作業効率が向上します。
ミスを抑制できる
組織において適切なマナーやコミュニケーションが習慣化すると、相手の立場を考えた言動が増えます。
報連相(報告・連絡・相談)の徹底は情報共有の正確性を高めるため、ミスやトラブルの発生を抑えることが可能です。
多様な働き方を実現できる
ビジネスマナーはお互いの考え方や気持ちの理解を促す共通のルールです。共に働く人を尊重する姿勢を持つことにより、正社員やパートタイム、テレワークなどの多様な働き方が実現できます。
ライフスタイルに適した職場環境は、離職率の軽減やモチベーションの維持にも有効です。
ビジネスマナー基本の5原則

ビジネスマナーには、5原則と言われる基本の作法があります。職場や取引先では、以下の言動を意識しましょう。
挨拶
挨拶は、信頼関係を築く第一歩です。相手の目を見て、明るくはっきりとした声のトーンを心がけましょう。特に初対面の場では、積極的に挨拶をすることで良い印象を与えることができます。
ビジネスでは、出勤や退勤、会議など活用シーンに応じて相応しい挨拶を使い分けることが重要です。
出勤の挨拶
「おはようございます」「よろしくお願いいたします」
勤務中の挨拶
「お疲れ様です」「お忙しい所、失礼いたします」
退勤の挨拶
「お疲れ様でした」「お先に失礼いたします」
退室・退出の挨拶
「失礼いたします」「本日はありがとうございました」
表情
表情は、言葉以上に相手の印象を左右するコミュニケーション手段です。親しみやすい表情は、信頼や安心感に繫がり円満な人間関係を築きます。
一方で、無表情や怒りの表情は不信感を生む要因になり得るため注意が必要です。
表情を柔らかくする
過度に笑う必要はありませんが、口角を上げ穏やかな表情を心がけます。真剣な議論や深刻な場では、状況に合わせた表情を選びましょう。
相手の目を見て話す
相手と目線を合わせることで、関心や誠意を伝えます。特に交渉の場では、信用に関わる大切な要素です。
頷きや微笑みを取り入れる
相手の話を聞く時は、頷きながら優しい表情を見せます。これにより、対話への理解を示すことが可能です。
身だしなみ
身だしなみは、第一印象を決める重要なマナーです。どれだけ仕事ができる人材であっても、身だしなみが整っていないと信頼を損ねる可能性があります。
清潔感やTPOに合わせた装いを意識することで、礼儀正しさを表現できます。
服装
シワや汚れがない清潔な状態を保ちます。色や小物などは、奇抜な物を避け職場環境に応じた服装を選びましょう。
髪型
明るすぎるヘアカラーや派手なアクセサリーは避けるのが一般的です。寝癖を直し、清潔感のある髪型に整えます。
靴
革靴は、汚れや傷がないように磨いておきましょう。黒や茶色、ベージュなどの落ち着いたカラーを着用します。
参考記事:押さえておきたい!オンライン商談時のマナー【服装・メイクのポイント】
態度
態度は相手を尊重する姿勢です。雑な所作や感情的な振る舞いは、不信感を与えます。
自身がどのような役職や立場であっても、謙虚な姿勢を忘れずに接することが重要です。多様な価値観を受け入れ、状況に応じた適切な言動を実践します。
気をつけたいNG行動
・あくびをする
・話を無視する
・高圧的な言動を取る
・自分の意見を押し通す
・遅刻をする
言葉遣い
敬語や相手に配慮した言葉遣いは、良好な関係性を築く土台です。基本的には「尊敬語」、「謙譲語」、「丁寧語」の3種類を使い分ける必要があります。
また、サポート受けた際は感謝の言葉を忘れず、自身に非がある時は素直に謝ることも大切です。
尊敬語
相手の行動や状態を敬い、目上の人と話す場合に用いる言葉です。
(例)「行く」→「いらっしゃる」、「言う」→「おっしゃる」
謙譲語
自身の行動や状態をへりくだって表すことで、相手を立てる表現を指します。
(例)「行く」→「伺う」、「言う」→「申す/申し上げる」
丁寧語
相手との距離感保ちながら、丁寧な言い回しで敬意を示す言葉です。
(例)「行く」→「行きます」、「言う」→「言います」
職場・取引先でのマナー

職場や取引先でのマナーは、周囲と連携し効率的に業務を進める上で守るべき共通のルールです。以下のポイントを抑えて、適切に振る舞いましょう。
報連相(報告・連絡・相談)
上司や部下に対して、仕事の進捗や課題点を正確に伝えます。これには、物事の背景や結果、今後の見通しなども含まれており、相手に伝わりやすい話し方が求められます。
トラブルが発生した際は、早めに相談し独断で判断しないことが重要です。
伝え方のポイント
報告:5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識し簡潔にまとめる
連絡:正確な情報を伝え、優先度や期限を明確にする
相談:必要な事前情報を整理し、自身の考えや案を添えて相談する
時間厳守

商談や会議などの約束事がある場合は、準備時間を考慮し余裕を持った行動を心がけます。
日程を決める時は、前後の業務や交通状況を想定した時間設定を行うことも大切です。万が一、遅れる場合は必ず事前に連絡を入れます。
時間厳守を徹底するためのポイント
・カレンダーアプリのアラーム機能を活用する
・遅刻は前もって関係者に連絡し、理由と到着予定時刻を伝える
・会議資料や持ち物などの事前準備は早めに済ませておく
名刺交換
名刺は、折れたり汚れたりするのを防ぐために名刺入れで保管します。初対面での挨拶や取引先へ訪問する際は、名刺交換を行うのが一般的です。
十分な枚数を用意し、すぐに取り出せる状態に整えておきます。
名刺交換の手順(訪問者)
① 名刺を名刺入れから出す
② 机を挟まず立った状態で相手と向き合う
③ 相手が読みやすい向きに揃え両手で持つ
④ 訪問者側から先に相手の手元より低い位置で名刺を差し出す
⑤ 社名・部署名・名前を告げながら渡す
⑥ 相手が受け取ったら「よろしくお願いいたします」とお辞儀をする
名刺交換の手順(受け取り方)
① 名刺を差し出されたら「頂戴いたします」と一言添えて両手で受け取る
② 相手の名前を復唱し「ありがとうございます」とお礼を告げる
③ 受け取った名刺は手に持ったまま席に着く
④ 机に名刺入れを置きその上に相手の名刺を置く
電話対応
電話対応では、声のトーンや言葉遣いなど丁寧な対応が求められます。企業の代表であることを自覚し、ハキハキとした話し方を意識しましょう。
伝言がある場合は、会話内容をメモに取り正確に記録します。
電話をかける際のポイント
・伝える内容を予め整理しておく
・相手の状況や時間帯を配慮する
・用件は簡潔に話す
電話を受ける際のポイント
・3コール以内に電話を取る
・社名や名前などの情報を伝える
・相手の社名、名前、用件を確認する
ビジネスメール
メールは送信前に内容を見直し、誤字脱字や送付先に誤りがないかを確認します。原則として24時間以内に返信をするのがマナーです。
長文は避け、1文は60~80文字程度に抑えて読みやすい文章を心がけます。
ビジネスメールのチェックリスト
✓ 件名は簡潔であるか
✓ 相手の名前や敬称は正しいか
✓ 内容は伝わりやすいか
✓ 誤字脱字や送付先に誤りはないか
✓ 言葉遣いは適切であるか
参考記事:ビジネスメールに必要な「5項目」の基礎スキルをお届け!-便利機能付き-
訪問
クライアントや営業先の訪問は、事前準備がスムーズな対応の鍵となります。相手の名前、役職、住所などの必要な情報は、前もって把握しておきましょう。
また、突然の訪問は失礼にあたるためアポイントを取ってから訪ねるのが礼儀です。
訪問時のポイント
・名刺、プレゼン資料、契約書類など忘れ物に注意する
・携帯電話は音が鳴らない設定にする
・約束の時間の5~10分前に現地に到着する
・ドアの開閉は静かに行う
テレワーク
テレワークは相手の顔が見えない分、オンライン上のマナーが信頼関係の構築に影響します。そのため、勤怠管理や密な報連相、時間厳守などの社内規則を守ることが重要です。
メールやチャットの返信は迅速に行い、相手を不安にさせない対応を徹底します。
Web会議のマナー
・カメラやマイクなどネットワークの接続を確認する
・雑音が入らないよう静かな場所を確保する
・物が映り込む場合はバーチャル背景を設定する
・カジュアルすぎる服装は避ける
参考記事:オンライン商談を成功させるための秘訣。気になるメリットやコツを詳しく紹介
テレワークの研修事例

近年では、テレワークが普及しオンライン上でビジネスマナー研修を行う企業が増えています。
テレワークの研修は、実践的かつ双方向でコミュニケーションが取れる形式が効果的です。以下に具体的な研修事例をご紹介します。
ロールプレイング
電話対応のスキルを身につけるために、営業電話の交渉シーンを想定したロールプレイングを実施。新入社員と先輩社員でペアを組み、「声のトーン」や「対話のテンポ」などの評価基準を設定し実演した。
これにより、課題の把握や改善に繋がっただけではなく、社員同士の交流を深めることができた。

クイズ形式の理解度テスト
研修内容のインプットを目的に、パワーポイントやエクセルで学んだ知識を集約した理解度テストを作成。Web会議ツールを活用し、テストの実施と回答のフィードバックを行った。
問題用紙を画面に反映させながら、リアルタイムで疑問点や不明点を共有することでスキルの習得に役立った。

日報の導入
進捗状況の把握と自己管理の習慣化に向けて、日報制度を導入。「業務内容」や「実績」、「課題・対策」などの入力項目を設けて終業前に各自で振り返りを実施した。
その結果、個々の取り組みが可視化され、フォロー体制を強化することができた。
夕礼の開催
テレワーク環境下において、懸念されるコミュニケーション不足の解消を目的に新入社員同士が交流できる夕礼を開催。
研修期間中は毎日30分間、業務内容の確認やざっくばらんに対話ができる環境を設定した。夕礼で取り組みを共有し合うことにより、課題解決やチームビルディングの形成に繫がった。
まとめ
ビジネスマナーは、職場や取引先との関係性を築くための基礎スキルです。基本的なマナーを守ることは、相手からの「信頼」を獲得する手段であり、ビジネスを成功に導く秘訣と言えます。
実践的な研修方法でビジネスマナーを習得し、企業の生産性向上や自己成長に繋げていきましょう。
またビジネスマナーの応用として、交渉の場で信頼感を与えるトーク術を集約した「商談チェックシート」を無料で配布しています。研修や商談前の事前準備にご活用ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


IS factory magazine(アイエス ファクトリーマガジン)編集部です。2022年開設。
定期的にインサイドセールスや営業に関するノウハウ、セミナー情報を発信しています。