テレアポは、営業活動の中でも成果のハードルが高い仕事です。
特に初心者のうちは、「何を話せばいいのか」「どう話せば断られないのか」と悩む担当者も多いでしょう。
しかし、話し方のポイントを押さえて実践すれば、未経験でも成果を出せる営業手法です。
本記事では、実際の営業現場の事例をもとにテレアポで成果につなげる10のコツを、トーク例やスクリプトとともに解説します。
こんな方におすすめ
✓ トークスクリプト通りに話しているのにアポが取れない
✓ 相手の反応に上手く対応できず会話が続かない
✓ 質問力や提案力を高めて成果につなげたい
テレアポがうまくいかない理由とは?よくある失敗パターン

テレアポは「電話をかければアポが取れる」と思われがちですが、実際には高いスキルと戦略的な準備が求められる業務です。
成果が出ない状況が続いている場合は、自身のアプローチに失敗パターンが潜んでいる可能性があります。ここでは、営業現場でよくあるテレアポを失敗する典型的な例を紹介します。
一方的なトークになっている
「これが当社の強みです」「〇〇が御社に役立ちます」といった売り込み中心の営業トークは、顧客に響きません。特に、BtoB営業では自社の課題解決や業務効率化に直結する話しが求められます。
そのため、一方的な商材説明ではなく、相手の状況を引き出す会話のキャッチボールが重要です。
質問が少なく、相手のニーズを把握できていない
テレアポでは、限られた時間の中で相手の業務や課題感を探るヒアリング力が問われます。質問をせずに商材の話しを進めてしまうと、ニーズに適さない提案になり、断られる確率が高まります。
たとえば、「現在、〇〇のご対応はどのようにされていますか?」といった質問で、会話の糸口をつかむことが大切です。
導入トークが弱く、話を聞いてもらえない
第一声で「結構です」「興味ないです」と断られるケースは、導入部分が相手に刺さっていない可能性があります。
この場合は、相手の立場や関心事を想定し、「同業他社でこういう相談が増えていまして…」といった共感・関心を引き出す導入トークに変えることで聞く姿勢をつくることができます。
これらのポイントは、テレアポでアポ取得率を改善する際に重点的に見直される要素です。まずは、営業トークのどの部分で断られているのかを分析し、要因を突きとめることが改善の第一歩です。
成果を出す人はやっている!テレアポの成功パターンとは

テレアポで成果を出している営業担当者には、共通する思考の型と話し方の工夫があります。
彼らは、特別な話術を使っているわけではありません。その違いは、「誰に・何を・どう伝えるか」という基本構成を徹底しているかどうかです。
この章では、テレアポの成功パターンと成果につながる営業のコツを具体的に解説します。
①「誰に」:ターゲットを明確にする
テレアポでは、見込みの高い顧客に的確にアプローチをすることが重要です。
業種や規模、担当部署、役職などを絞らずに電話をかけると、商材に興味のない相手に営業をしてしまう恐れがあります。
成果が出る営業チームでは、事前にリスト管理やターゲット設定を丁寧に行い、「ニーズがある相手」を選んでからアプローチをしています。
無作為に電話をかけるのではなく、戦略的なターゲティングがアポ取りの秘訣と言えるでしょう。
②「何を」:相手にとって価値のある提案を選ぶ
テレアポを成功させるには、相手が価値を感じるポイントを軸に話しを組み立てる必要があります。
たとえば、「コスト削減につながる」「人的リソース不足を補える」など、ターゲットの関心事と自社サービスの提供価値をつなげる視点を持つことが大切です。
今一度、トークの内容が自社中心になっていないかを見直してみましょう。相手の立場から見た導入のメリットを絞って伝えることで、商材の魅力を感じてもらいやすくなります。
③ 「どう伝えるか」:反応を引き出すトークの流れ
アポイントを獲得するには、伝え方の設計が不可欠です。相手の関心を高めるには、次のようなトーク構成を意識します。
営業話法の例
1.導入(共感ベースの一言で関心を引く)
「〇〇業界(ターゲット企業)の担当者様から営業人材が足りないというご相談をよくいただてまして…」
2.質問(ニーズを探る)
「御社ではこのような取り組みはされていますか?」
3.提案(課題と結びつける)
「そのような課題のある企業様に、弊社がご支援しているのが…」
4.クロージング(アポイントを打診する)
「まずは15分ほど、ご紹介の機会をいただけませんか?」
このように一方的に話すのではなく、会話のキャッチボールで信頼感を生むトーク構成がテレアポ成功の鍵になります。
関連記事:クロージングとは?営業で押さえておきたい商談テクニックと事例集
成果を出す人が実践しているテレアポのコツ

実際のテレアポでは、どんなテクニックが活用されているのでしょうか。ここからは、アポ取りのコツと弊社インサイドセールス支援の営業担当者が実践している事例をご紹介します。
1.声のトーンは「ゆっくり・抑揚」で安心感を演出する
はじめは、ゆっくりと抑揚を意識して安心感を与えるトーンで話します。テレアポでは、緊張から早口になったり、間を取らずに話し続けてしまったりすることがあります。
これでは、相手に不信感や売り込み感を与える可能性があるため、以下のポイントを見直してみましょう。
話し方のポイント
・語尾は上げず、不必要に伸ばさない
・トークスクリプトの句読点で間を持たせる
・聞き取りにくい言葉はゆっくり話す
・「あの~」「その~」などのつなぎ言葉を多用しない
習得方法
【音源聴衆】
1.CRMで架電音源を収集
2.音源を共有
【ロールプレイング】
1.ロールプレイング研修の導入
2.評価シートをもとに振り返りを実施
関連記事:ロープレとは?営業スキルの向上に役立つトレーニング方と実践方法【チェックシート付き】
2.初手で“売らない”。共感と課題提示から入る
テレアポの冒頭では、いきなり商品やサービスの話しを始めると相手は「売り込まれる」と不信感を抱きます。
まずは、ターゲットの業界や課題に関する話題から入り、検討状況に寄り添った共感トークを意識することが大切です。
自身の話しをしてもらうことにより、売り込まれているという感覚が薄れ、自然にヒアリングへ移行できるようになります。
トーク例
「最近、〇〇業界で人手不足の影響から業務効率化の相談を多くいただいていまして…御社ではいかがでしょうか?」
共感トーク設計
①業界別のトークスクリプトを作成する
②営業現場で実践し、良かったトークを分析する
③効果的なトークをスクリプトに盛り込む
3.担当者不在でもチャンスを残す“情報収集”
初回のアプローチでは、会議や出張などで担当者に取り次いでもらえないケースが多くあります。
この場合、「また改めます」だけで話しを終えるとターゲットの情報を聞き出すことができません。不在時は、次回の架電で接続できるように在席状況を確認しておきましょう。
トーク例
「何時頃にいらっしゃいますでしょうか?」
「明日はご出勤されてますでしょうか?」
担当者不在時のフロー設計
①在籍日を確認する
②CRMに顧客情報を記録する
③次回架電する曜日と時間を決める
④再架電を行う
関連記事:【業種別】テレアポの最適な時間帯と成果を上げるアプローチ手法
4.相手の不安を先回りして払拭する
テレアポは突然かかってくる電話のため、相手は本能的に警戒しやすい状況です。初回のトークで「この人は信頼できる」と感じてもらうには、不安を先回りして言語化してあげることが大切です。
まずは、相手の懸念点を和らげることで、営業電話に対する心理的なハードルを下げていきます。
顧客が抱える不安
・売り込まれそう
・時間を取られそう
・何でかけてきたんだろう
トーク例
「〇〇に掲載されている情報を見てご連絡させていただきました」
「お忙しい所、お電話に出ていただきありがとうございます」
「今、1.2分だけお時間いただいてもよろしいでしょうか?」
関連記事:【これでテレアポも怖くない!?】顧客心理を攻略して4つの不を解消!
5.断られても“共感+質問”で会話をつなぐ
アポ率の平均値は1%程度と言われており、「今は必要ないです」「間に合っています」と断られることがほとんどです。
相手の興味を引くためには、共感と簡潔な質問で会話を継続するテクニックが有効になります。
話し方のポイント
・まずは否定せずに「そうですよね」と受け入れる
・相手の状況に共感したあとに切り返しトークや質問をする
切り返しトーク例
「そうなんですね、ちなみに〇〇は活用されているご状況でしょうか?」
「今は必要ないとのことでしたので、今後のご参考までに資料だけお送りしてもよろしいでしょうか?」
【切り返しトークシートのフォーマットはこちら】

6.ヒアリング情報は必ずメモを取り、次回に活かす
1回目の電話で取得した情報はその場で記録し、2回目以降の架電に活かしましょう。前回の対話内容を用いて話すことにより、「理解してもらえている」と信頼の獲得につながります。
トーク例
「前回は“人手不足で手が回らない”とおっしゃっていましたが、その後はいかがですか?」
「先月は“繁忙期でお忙しい”とのことで改めてお電話させていただいたのですが、今お時間大丈夫でしたか?」
ヒアリング情報の集約例
・顧客情報
・架電日時
・検討状況
・課題
7.クロージングでは選択肢を提示する
アポイントを打診するときは、「いつ頃がよろしいでしょうか?」と聞くと断る余地を与えてしまいます。日程提案では、YESかNOで回答できる質問ではなく、AかBかの選択式が効果的です。
トーク例
「来週の火曜か木曜で、15分ほどオンラインでお話できるお時間ありますか?」
「〇日か△日の今ぐらいのお時間帯はいかがでしょうか?」
日程調整のポイント
・どちらの日程を選ぶかという心理状態にシフトする
・円滑に提案できるようにあらかじめ候補日を決めておく
8.拒否理由を記録して“型”を磨く

アポイントを取得できなかった場合は、理由を分析すると改善策を立てることができます。断りに対する対策は、スクリプトに集約するとトーク内容の最適化が可能です。
これにより、相手が断る理由がなくなり成果につながりやすくなります。
改善例①
NG理由:「外注には興味がない」→提案方法の角度を変える
対策:仮説(繁忙期や今後)への提案、認知目的の提案
改善例②
NG理由:「タイミングの不一致」→次回の最適な時期をヒアリング
対策:需要がある場面を特定、再架電の時期を提示
9.テレアポはインサイドセールス戦略の一部と捉える
テレアポは、単なる電話営業と捉えると精神的にも辛くなります。そのため、営業全体の流れを理解し、自分の役割を把握することが重要です。
インサイドセールスは、マーケティングからフィールドセールスへとつなぐ架け橋であり、「育成プロセス」です。
アポ獲得だけが目的ではなく、次のアクションにつながる情報収集も成果の一部として認識しましょう。
営業活動の成果分析
・顧客ステータスをCRMで可視化
・業界、架電時間、顧客ニーズの傾向を抽出
・アポ獲得や断りの経緯を分析、パターン化
10. 毎日、仮設→実践→振り返りをルーティン化する
成果に直結する習慣は、仮説ベースで架電し振り返ることです。PDCAサイクルを毎日の営業活動で実践しましょう。
実践のポイント
・「今日は〇〇の切り返しを強化」など目標を持って架電をする
・結果(数字や相手の反応)を記録に残す
・改善を翌日へ活かす
導入方法
日報を作成する
①架電数、アポ数、仮設、振り返りを日報に記入する
②チームで共有しコメントし合う仕組みをつくる
トークスクリプトの例文と作り方
テレアポで成果を出すために欠かせないのが、トークスクリプトの精度です。営業経験が浅い場合は、何を話すか悩んだり、言葉に詰まったりするケースがあります。
そこで重要なのは、準備されたスクリプトをもとに会話の流れを理解することです。
スクリプトは、読むものではなく“型”として活用し、会話に柔軟に対応するためのツールです。ここでは、トークスクリプトの基本構成と例文をご紹介します。
トークスクリプトの基本構成(初回アプローチ編)
①名乗り・目的提示
→「お忙しいところ恐れ入ります。私、〇〇会社の△△と申します。本日は、××の件でお電話させていただきました。」
②アイスブレイクor共感
→「最近、〇〇業界で△△にお困りの企業様が増えておりまして…」
③ヒアリング・質問
→「御社では、こういったご対応はどうされていますか?」
④価値提示
→「弊社は、〇〇というサービスを提供しています。〇〇業界の皆様には、△△の際にご利用いただいております。」
⑤クロージング
→「情報収集として15分程度ご紹介の機会をいただきたいのですが、〇日か〇日でご都合の良い日はありますでしょうか?」
トークスクリプトは、話す内容だけでなく質問の設計がニーズを引き出す秘訣です。聞き手が自分で話すことで関心が高まり、商材の必要性を感じてもらいやすくなります。
【トークスクリプトテンプレートはこちら】

テレアポでモチベーションを保つための考え方

テレアポは、営業手法の中でも特に心理的ハードルが高い業務です。何十件も断られることは日常茶飯事で、「向いていないのでは?」「また断られた」と心が折れそうになる場面も少なくありません。
しかし、営業担当者は鋼のメンタルではなく、モチベーションを維持するためのストレス対策や感情の整え方を知っているだけなのです。
ここでは、日々のテレアポ業務を前向きに続けるために必要な考え方をご紹介します。
断られるのが普通と認識する
テレアポは、50件中49件断られても1件アポイントにつながれば成果です。断られるのが当たり前と思えば、獲得できない場合も心理的負担が軽減されます。
ストレスを感じたときは、周囲に相談したり趣味の時間を楽しんだりと、自身がリフレッシュできる方法を持っておくのも効果的です。
関連記事:営業のストレスがやばいと感じたら?限界を迎える前に試す7つの解決策
断られた理由を価値に変える
「興味がない」と言われた際は、その理由を記録すると商材やアプローチ手法の改善に貢献します。断られた瞬間はつらいですが、顧客情報の取得やその反応が成功のヒントになるという視点で捉えましょう。
自分に合った働き方や営業手法を知る
現代の営業は、かつてのように「架電数で稼ぐ」だけの時代ではありません。営業スタイルは多様化しており、自身の強みを活かせる手法に調整することも1つの選択肢です。
営業手法の例
・トークが苦手→メール×インサイドセールスで伝える手段を広げる
・自信が持てない→スクリプト改善+ロープレで型を固める
・精神面、体力的に厳しい→リモートワーク、マーケ連携型にシフトする
関連記事:自己分析にMBTIを活用!16タイプ別にわかる営業スタイルと強みの活かし方
まとめ|テレアポはコツと工夫次第で誰でも成果を出せる
本記事では、初心者でも実践できるテレアポのコツ10選を中心に、スクリプトの構成、営業事例、モチベーションの保ち方を解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
・導入トークがアポ率を左右する
・声のトーン、言葉選び、構成を意識する
・スクリプトは自分の言葉に落とし込む
・「断られるのが当たり前」というマインドを持つ
テレアポは幅広いスキルが求められる業務ですが、正しい知識と工夫を積み重ねることで、確実に成果を伸ばせます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

IS factory magazine(アイエス ファクトリーマガジン)編集部です。2022年開設。
定期的にインサイドセールスや営業に関するノウハウ、セミナー情報を発信しています。
