営業人材育成

MBTIで研修をカスタマイズ!16タイプ別に学ぶ営業研修&マネジメント術

営業
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新人営業担当者の育成は、企業が抱える大きな課題です。営業という業務は、その性質上、顧客対応力やコミュニケーションスキルが重要視されるため、教育も非常に多様な要素が必要となります。
 
しかし、新人一人ひとりの性格や学習スタイルが異なるため、画一的なトレーニングプログラムでは十分に成果を上げることが難しい場合もあります。
 
「どうすれば個人の強みを引き出し、早期に即戦力化できるのか」
 
この課題に対する解決策のひとつとして注目されているのが「MBTI診断」です。MBTI診断を使えば、営業担当者の性格や行動パターンを理解し、各自に最適な育成方法を導き出すことができます。
 
この記事では、MBTIをどのように営業研修に活用し、メンバーをマネジメントして想起に即戦力化できるのかを解説していきます。

こんな方におすすめ
✓ 営業研修にマンネリを感じている方
✓ 新しい営業手法をお考えの育成担当者
✓ 個々に合ったパーソナルな研修を行いたい方


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MBTIとは

MBTIは、Myers Briggs Type Indicator(マイヤーズ ブリックス タイプ インディケーター)の略称で、スイスの心理学者カール・G・ユングの心理学論をもとにした性格診断テストです。
 
一般社団法人日本MBTI協会では、異なる考えや価値観を持つ人々を理解し、受け入れる力を高めることを目的としています。

MBTIは個々の人間の行動や意思決定の傾向を4つの対立軸で評価し、それぞれの軸の組み合わせによって16のタイプに分類されます。

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【内向的(Introversion)と外交的(Extraversion)】
→人がエネルギーを得る方法:内的な思考からか(I)、外部環境からか(E)

【直感的(Intuition)と感覚的(Sensing)】
→情報をどのように受け取るか:抽象的で未来志向か(N)、現実的で具体的な事実に基づくか(S)

【感情的(Feeling)と思考的(Thinking)】
→判断を下す際に重視するもの:感情や人間関係か(F)、論理的な分析か(T)

【知覚的(Perceiving)と判断的(Judging)】
→どのように行動するか:柔軟に対応するか(P)、計画的か(J)

これらの軸を組み合わせることで、それぞれの営業担当者がどのように思考し、行動するかを理解でき、適切な指導法やフィードバック法を見つけることが可能です。


MBTIタイプごとの営業の特徴

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MBTIを使って営業の特性を理解することは、彼らの長所を伸ばし、短所をカバーするために役立ちます。それぞれのMBTIタイプには、営業活動において異なる特徴があります。


1. 内向型(I)と外向型(E)

内向型(I)
情報収集や事前の準備をしっかり行いますが、対面での交渉やプレゼンで自信を持ちにくいことがあります。
 
外向型(E)
顧客との対話が得意で、即行動に移すことを好みます。実践で成果を上げやすいですが、調査や準備が不十分になりがち。


2. 直感型(N)と感覚型(S)

直感型(N)
新しいアイデアや未来のビジョンを好みます。大きな構想を描くことに優れていますが、現実的なタスクやプロセスに対して注意が散漫になりがちです。
 
感覚型(S)
具体的なデータや事実を重視し、実践的なアプローチを好みます。数字や成果に強い一方、新しいアイデアに対する柔軟性が低いことも。


3. 感情型(F)と思考型(T)

感情型(F)
人間関係や感情的な共感を重視し、顧客との信頼関係を築くのが得意です。ただし、時には感情に引きずられて論理的な判断が疎かになることがあります。
 
思考型(T)
論理的に物事を進め、効率を重視します。営業プロセスをデータや数字に基づいて考える傾向が強く、結果を重視する反面、感情面でのサポートに欠ける場合があります。


4. 知的型(P)と判断型(J)

知的型(P)
柔軟で、状況に応じて計画を変えることが得意です。即興的な対応力が高い反面、締め切りや期限に対する意識が薄いことがあります。
 
判断型(J)
計画的に行動し、明確な目標や期限に従って結果を出そうとします。決められたルールやプロセスに従うことを好みますが、変化に対応する柔軟性に欠けることがあります。


16タイプ別営業研修例とマネジメント方法

MBTIに基づいて各タイプに合った育成方法を取ることで、個々のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能です。

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上から営業研修例と各タイプに必要なマネジメント方法を記載しています。


アルファベットだけでは覚えにくいという方は、下記の漢字表記ver.をご覧ください。


具体的には次のアプローチが有効です。
 

ISTJ 管理者(責任感が強く、現実主義者)

営業研修例
ISTJタイプには、データや結果に基づいた営業戦略の研修が効果的です。営業活動のステップをマニュアル化し、どの段階で何をすべきかを詳細に教えることが有効です。また、データや事例に基づく営業戦略を学ばせ、実績の分析や改善策の策定方法を指導することで、責任ある仕事と認識させます。
 
マネジメント例
目標に対して真面目に取り組む傾向が強いため、具体的な数値目標を設定し、進捗状況を定期的に確認することが重要です。また、進捗が遅れている場合には解決策を提示し、目標設定に向けたサポートを行うと効果的。


ISFP 冒険家(温和で感受性が強い)

営業研修例
ISFPタイプには、感情的な理解や共感力を生かした顧客対応を学ぶプログラムが有効です。例えば、顧客との信頼関係を築くための対話技術や、顧客の感情に寄り添うコミュニケーション方法を取り入れた研修を行います。
 
マネジメント
感情面でのサポートを必要とするため、プレッシャーをかけすぎず、個々のペースを尊重することが大切です。また、創造性を発揮できる環境を整えることで、独自のアプローチで成果を上げることができます。


INFJ 提唱者(理想主義で洞察力がある)

営業研修例
INFJタイプには、顧客の本質的なニーズを見抜き、長期的な信頼関係を築くスキルに重点を置くことが効果的です。顧客の潜在的な課題を洞察し、それに対してどのような提案ができるかをディスカッションする研修が有効。また、カスタマイズされた提案書の作成方法や課題解決型の営業戦略を学ばせると良いでしょう。
 
マネジメント
深い目的意識をもって働くため、組織のビジョンや価値観をしっかり共有することが大切です。自己成長を追求できる環境を提供し、内面的な成長や意義のある業務を与えることで、パフォーマンスを引き出すことができます。


INTJ 建築家(戦略的で独立心が強い)

営業研修例
INTJタイプには、データ分析や戦略的思考を重視した営業プロセスを学ぶ研修が有効です。市場のトレンド分析や競合他社の調査を元に、自社製品の強みを効果的に伝える手法を学ばせます。また、論理的な問題解決スキルを鍛え、長期的な視点での営業戦略を立案する研修が適しています。
 
マネジメント
自主性を重んじているため、具体的な目標を与えた後は自由に行動させるのが効果的です。ただし、成果に対する評価はシビアに行い、具体的な結果を求める姿勢を貫くことが重要です。また、新しい戦略や挑戦を推奨することで、個人の想像力を引き出すことができます。


ISFJ 擁護者(献身的で協力的)

営業研修例
ISFJタイプには、顧客満足度の向上や信頼関係の構築を重視した研修が適しています。顧客対応のロールプレイングを通じて、丁寧で細やかな対話を学び、顧客満足度を高めるコミュニケーションスキルを磨かせます。
 
マネジメント
協力的な環境で力を発揮するため、チーム内での役割分担や協力を好みます。また、個人の努力や成果を認め、感謝の意を伝えることでモチベーションが向上。他者の期待に応えたい気持ちが強いため、明確な目標を与えると同時に、進捗に対するフィードバックを丁寧に行うことが大切です。


ISTP 巨匠(実践的で問題解決に優れる)

営業研修例
ISTPタイプには、実際の営業現場での問題解決能力を高めるシミュレーションを取り入れた研修が効果的です。現場で直面する問題に対処するスキルを磨くために、リアルな顧客対応シナリオを使った演習を行います。また、問題解決に必要な柔軟な思考と対応力を高めるトレーニングも適しています。
 
マネジメント
自分のペースで働くことを好むため、過度に細かい指示を与えるのではなく、自由に働ける環境を提供することが重要です。問題解決のスピードや実行力に焦点を当ててフィードバックを行います。


INFP 仲介者(理想主義的で情熱的)

営業研修例
INFPタイプには、顧客のニーズに基づくソリューション提案型の営業手法を学ぶ研修が有効です。顧客の潜在的な課題を見抜き、それに対してどのように付加価値を提供できるかを考える演習が良いでしょう。また、自己表現を通じた営業手法も学ばせます。
 
マネジメント
感情や価値観を重視するため、個性を尊重し、柔軟な指導を行うことが重要です。モチベーションを維持するためには、意義を感じるプロジェクトに携わらせることが効果的です。


INTP 論理学者(論理的で好奇心が強い)

営業研修例
INTPタイプには、データに基づく営業戦略や複雑な問題に対する提案を学ぶ研修が効果的です。複雑な顧客ニーズに対して論理的な提案を行うスキルや、データに基づく営業プロセスの最適化を学ぶ研修が有効です。
 
マネジメント
自由に考える時間を必要とするため、厳しい指示よりも、自主的に問題に取り組む環境を提供することが重要です。また、論理的な説明を求める傾向が強いため、成果に対するフィードバックを具体的かつデータに基づいたものにすることで効果的に管理できます。



ESTJ 幹部(組織的で現実的)

営業研修例
ESTJタイプには、組織的な営業プロセスを学ぶ研修が効果的です。例えば、効率的な営業手法の標準化や、営業チームの管理手法を学ばせます。また、目標達成のための計画策定とその実行方法を重点的に指導します。
 
マネジメント
明確な指示と具体的な目標を重視するため、進捗管理や成果評価をしっかり行うことが重要です。業務の効率化や組織の整備に関するフィードバックを具体的に行い、個人のリーダーシップ能力をサポートします。


ESTP 起業家(行動力があり、社交的)

営業研修例
ESTPタイプには、実践的でダイナミックな営業研修が向いています。競争的なシナリオを取り入れたロールプレイングや、即時フィードバックを与えるシチュエーションを通じて、個人の瞬発力と決断力を磨きます。
 
マネジメント
短期的な成果に対してモチベーションを持ちやすいため、明確な短期目標を設定し、成果を迅速に評価することが重要です。また、競争的な環境やチャレンジングな目標を設定することで、個人の行動力を引き出すことができます。


ENFP 運動家(情熱的で創造的)

営業研修例
ENFPタイプには、創造的なアプローチを活かした営業手法を学ぶ研修が効果的です。顧客のニーズの掘り下げて独自のソリューションを提案するスキルや、自己表現を活かした営業方法を学ばせます。また、新しいアイデアを提案するワークショップも有効です。
 
マネジメント
自由な発想を大切にするため、アイデアや提案を積極的に受け入れ、挑戦的なプロジェクトに参加させることが効果的です。個人の情熱を引き出すために、ポジティブなフィードバックを頻繁に行うことが重要です。


ENTP 討論者(創造的で情熱的)

営業研修例
ENTPタイプには、創造的な問題解決能力を活かすプログラムが有効です。ディベート形式の研修や、複雑な営業シナリオに対するアプローチを学ぶ内容が適しています。
 
マネジメント
挑戦的な環境で力を発揮するため、新しいプロジェクトや問題解決に挑戦させることで意欲を引き出します。また、自主性を尊重し、アイデアの自由な発展を支援することで、パフォーマンスを最大限に引き出すことができます。


ESFJ 領事館(協力的で社交的)

営業研修例
ESFJタイプには、チームでの協力と顧客対応に重きを置いたプログラムが有効です。顧客との関係構築を深めるためのスキルや、チーム内でのコミュニケーションを強化する研修を行います。
 
マネジメント
協力的な環境を好むため、チーム内での役割分担や協力を促進することが大切です。また、彼らの努力や成果を定期的に認め、感謝の意を伝えることで、モチベーションを高めることができます。


ESFP エンターテイナー(楽観的で社交的)

営業研修例
ESFPタイプには、顧客との交流を楽しみながら関係を築くスキルを学ぶ研修が有効です。顧客とのカジュアルなコミュニケーションスキルを磨く研修や、イベントやネットワーキングの機会を活用した営業手法を学ばせます。
 
マネジメント
職場の楽しさや社交的な環境を重視するため、チームでの協力やポジティブな雰囲気を作り出すことが効果的です。また、定期的なコミュニケーションを行い、個人の活躍を積極的に評価することがモチベーション向上に繋がります。


ENFJ 主人公(指導力があり、共感力が高い)

営業研修例
ENFJタイプには、リーダーシップを発揮し、顧客との深い関係を築くスキルを学ぶ研修が効果的です。チームのまとめ方や、顧客の感情に寄り添った営業方法を学ばせます。また、指導力を活かすためのコーチングスキルも重要です。
 
マネジメント
他者の成長をサポートすることに喜びを感じるため、リーダーシップの役割を与えたり、チームの指導を任せることが効果的です。また、定期的なフィードバックや感謝の言葉を通じて、個人の共感力と指導力を活かします。


ENTJ 指揮官(指導力があり、決断力が強い)

営業研修例
ENTJタイプには、戦略的な営業手法とリーダーシップスキルに重点を置きます。例えば、ビジネス戦略の立案やチームの指導方法を学ばせ、効果的な意思決定を行うスキルを鍛える研修が適しています。
 
マネジメント
自己主導的に働くことを好むため、挑戦的な目標を設定し、成果を評価する際には具体的な数値や結果を基にすることが重要です。また、リーダーシップの機会を提供し、彼らの戦略的な視点を活かす環境を整えることが効果的です。



MBTIを活用した研修では、各タイプの強みを活かすことが基本ですが、弱点を克服するために、自分のタイプとは逆のアプローチの研修を受けることも有効です。自分のタイプに逆らった研修を取り入れることで、弱点を克服し、幅広いスキルを身につけることが可能になります。
 
自身の強みを活かしつつ、逆のアプローチを学ぶことが、営業スキルの底上げに繋がるのです。


チームビルディングとMBTIの活用

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MBTIは、個々の性格タイプを理解するためのツールとしてだけでなく、チームビルディングにも大きな効果を発揮します。営業チームは、異なるタイプのメンバーが集まることで、多様な視点やスキルを活かし、相乗効果を生み出すことが可能になります。
 
MBTIを活用して、タイプの違いを理解し、チーム全体のパフォーマンスを最大化する方法を解説していきます。


多様性を活かしたチーム編成

営業の仕事には、フィールドでの対話や交渉といった「顧客対応力」と、データ分析やリサーチといった「計画的準備力」の両方が必要です。
それぞれのMBTIタイプが得意とする分野に違いがあるため、これを活かしてチームを編成することで、営業活動全体のバランスを取ることができます。
 
例えば、内向型(I)と外向型(E)を組み合わせたチーム編成では、外向型のメンバーが顧客との対話をリードし、内向型のメンバーが事前の調査やデータ分析をサポートすることで、より効果的な営業活動ができます。
 
これにより、顧客のニーズを深く理解し、最適なソリューションを提供できるのです。


タイプ間の相互補完

MBTIを活用することで、チームメンバー同士の相互補完を促進することができます。
 
例えば、直感型(N)は創造的なアイデアを生み出し、新しい営業戦略を提案する力に長けています。一方、感覚型(S)は具体的で実践的なアプローチを得意とし、短期的な目標に対して堅実な進捗を示します。
 
異なるタイプを組み合わせることで、実践力と創造性を両立させたチームを作ることができます。
 
また、感情型(F)と思考型(T)をペアにすることで、論理的で効率的な営業活動と、顧客との良好な関係構築をバランスよく進めることができます。思考型のメンバーがデータに基づく判断や提案を行い、感情型のメンバーが顧客の感情やニーズに寄り添ってサポートすることで、顧客満足度の向上に繋がります。
 


チームメンバーのコミュニケーションを円滑にする

MBTIを活用したチームビルディングは、コミュニケーションの向上にも役立ちます。弊社では、社内イベント時にMBTI診断を行い、自己紹介シートを作成しました。

各タイプのメンバーが異なるコミュニケーションスタイルを持つため、それぞれのタイプを知ることで、理解を深めることができます。社内のコミュニケーションに悩んでいる方は参考にしていただけると幸いです。


おわりに

MBTIを営業研修や育成の場面で取り入れることで、個々の強みを活かしつつ、弱点を克服する機会を提供できます。
 
特に、新人営業担当者の育成においては、一律のトレーニングではなく、個々の性格タイプに合わせたアプローチを取ることで、即戦力化が期待できるでしょう。また、MBTIを活用したチームビルディングにより、メンバー同士で強みや弱みを補い、営業活動が効率的に進められます。
 
しかし、ここで一つ注意すべき点は、「MBTIの診断結果に頼りすぎてはいけない」ということです。
 
MBTIはあくまで性格傾向を理解するためのツールであり、人の成長や変化を完全に予測するものではありません。営業担当者の成長過程は日々の経験や環境によっても大きく影響されます。診断結果を絶対的なものと捉えず、個々の特性を尊重しつつ、柔軟な育成と対応を行うことが重要です。
 
MBTIは効果的なガイドラインになりますが、最終的には個々の適応力や人間関係の中で学びが成長を促進するという認識を忘れないようにしましょう。MBTIを有効に活用しつつ、各メンバーの成長の可能性を最大限に引き出すことが、成功の近道です。
 
 


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IS factory magazine編集部です。2022年開設。
定期的にインサイドセールスや営業に関するノウハウを発信しています。

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