近年、各社で「ウェビナー」を開催する企業が増えているのをご存じでしょうか?インターネットの普及により、イベントや講演会がオンライン開催へと移り変わっているのです。
DX化が進む営業組織においても、顧客の新規開拓を目的にウェビナーを実施している企業が多くあります。
そこで今回は、ウェビナー開催に向けた8つの手順と成功のポイントを解説していきたいと思います。運用方法をまとめたチェックシートも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
こんな方におすすめ
✓ ウェビナーの主催を考えている方
✓ ウェビナーを営業戦略に取り入れたい方
✓ 顧客のリード獲得に悩む営業担当の方
ウェビナーとは
ウェビナーは、「ウェブ(Web)」と「セミナー(Seminar)」をかけ合わせた造語です。ZoomやYoutubeなどの配信ツールを利用して、インターネット上で実施されるセミナーをいいます。他の表現として、ウェブセミナー、オンラインセミナーと呼ばれることもあります。
ウェビナーとセミナーの違い
ウェビナーとセミナーの大きな違いは、開催場所です。セミナーは主催者と参加者が会場に足を運び、対面で行います。オンライン上で実施するウェビナーは、パソコンや携帯電話などの通信環境が整っていれば、どこにいても参加が可能です。
従来はセミナーが主流でしたが、コロナ禍の影響で、非対面で開催できるウェビナーが広まりました。また、運用コストや集客のしやすさでもメリットが大きいことから、営業職でも活用されています。
ウェビナー開催のメリット
営業戦略に取り入れられているウェビナーですが、開催にはどのようなメリットがあるのでしょうか?マーケティングや営業職で、期待できる成果は3つあります。
見込み顧客の獲得
インターネット上で手軽に申し込めるウェビナーは、全国規模で集客ができます。セミナー会場のようにエリア制限がないので、一度の開催で多くの人を集められるのがメリットです。
ウェビナーにエントリーするには、名前やメールアドレスなど、参加者の情報入力が必要になります。既存リード以外の顧客接点が増えるため、主催する企業のサービスを紹介することで、見込み顧客の獲得につながるのです。
開催する際は、自社で保有しているオウンドメディアやX、プレスリリースを積極的に活用しましょう。
見込み顧客の育成
ウェビナーで有益な情報を発信することは、既存顧客のニーズを引き出す要因になります。自社のサービスに興味・関心が低い方に、いきなりアポイントの承諾を得るのは困難です。
まずは、サービスを知ってもらうきっかけとしてウェビナーを開催し、段階的なアプローチを行いましょう。見込み顧客にとっても、主催者と直接的な対話をせずエントリーできるので、参加しやすくなります。
開催後は、顧客との関係性を高めるため、電話やメールでの状況確認を徹底しましょう。見込み顧客との接点回数が増えると、アポイントの心理的ハードルを下げることができます。
<リードの育成について詳しく知りたい方はこちら>
ブランディング
ウェビナーを告知する際は、タイトルやバナー、開催者の情報が掲載されます。主催する企業が持つノウハウをテーマに企画されるケースが多いので、自社のブランディングに効果的です。
また、配信ツールの中にはアンケート機能が搭載されているものもあります。ウェビナー終了後に集計し、参加者の意見を分析すると、自社の改善点に繋がることも。
開催後は、ウェビナーレポートや録画配信などのコンテンツにできるので、マーケティングにも役立ちます。
<過去のウェビナーコンテンツはこちら>
ウェビナーの配信方法
ウェビナーは、ライブとオンデマンド(録画)の2つの配信方法があります。開催する会場の環境に合わせて、選択していきましょう。
ライブ配信
ライブ配信は、Web会議ツールを使用して、リアルタイムで進行していく配信方法です。講演中は、チャットでの交流や質疑応答の場など、参加者とコミュニケーションを取りながら進めることができます。
非対面でありながら、参加者の反応を感じられるという臨場感があり、主催者側の熱意が伝わりやすいところがメリットです。
一方で、通信環境や配信器具の不具合など、オンラインならではのトラブルが発生する事態も考えられます。開催前は、入念にリハーサルを行い、配信環境を整えておきましょう。
オンデマンド(録画)配信
オンデマンド配信は、録画した動画を配信する方法です。ウェビナーで話す内容を事前に収録し、参加者に提供します。
視聴者は配信時間に関わらず閲覧することができ、主催者側の通信トラブルの心配もありません。参加者とのコミュニケーションは取れないですが、共有する資料の見せ方などの細かな修正が可能です。
編集する時は、効果音や字幕をつけると印象的な動画に仕上がります。
ウェビナー開催手順
次に、ウェビナーの開催手順をお伝えします。事前に司会者、登壇者、制作担当者を決め、分担して進めていきましょう。
①ウェビナー開催の目的を決める
まずは、ウェビナーを開催する目的の選定です。「案件化」や「営業研修」など、企画を立てる前に目的を明確にしておきます。目的が曖昧になると、講演内容がまとまらないため、参加者に有益な情報を提供することができません。
案件化であれば、リード件数や商談化数まで具体的に数値化すると、戦略が立てやすくなります。目的は司会者・登壇者・制作担当者に共有し、全員で達成を目指して進めていきましょう。
②企画を立てる
次に、ウェビナーのスジュールと全体の構成を立てます。開催日時はターゲット層によって異なりますが、企業向けは火曜日~木曜日の12時~17時、消費者向けは平日19時~21時が一般的です。
日時が決定したら、講演内容を具現化します。ここでウェビナーのタイトルや内容、発表の順番など、全体の構成を立てておくと進行がスムーズです。他社との共催ウェビナーを計画している方は、リハーサルの実施日も打ち合わせしておきましょう。
③配信環境を整える
企画が決まったところで、ウェビナーを開催する環境を整えていきます。配信ツールを使用するウェビナーは、通信環境がとても重要です。
接続不良や雑音などの配信トラブルがないよう、インターネット環境が整った静かな場所を確保します。配信ツールのアカウントを発行していない場合は、操作に慣れるためにも早めに登録しておきましょう。
自宅や社内の通信環境が悪いときは、個別の会議室やWi-Fiなど必要な機材をレンタルするのもおすすめです。
④発表資料を作成する
司会者と登壇者は、ウェビナーで発表する資料を作成します。人前で話すのが苦手な方は、講演内容や繋ぎのコメントを台本にすると安心です。
完成後は、スライドが発表順に整理されているか、分かりにくい図表はないかを確認しましょう。質疑応答の場を設ける際は、想定される回答を予め用意しておくと、落ち着いて対処できます。
<資料作成に活かせる図表の選び方はこちら>
⑤バナーを制作する
続いて、ウェビナーに使用するバナーを作成します。制作する際は、配信ツールの規定サイズの確認や登壇者の写真、主催する企業のロゴが必要です。登壇者の写真は、企業の印象を左右するため、できるだけ画質の良いものを選びましょう。
バナーの配色は、テーマや主催する会社のコンセプトカラーに合わせて作成します。共催ウェビナーでは、事前の打ち合わせで制作に要する情報を聞いておくと、スムーズです。
バナーのヒアリング項目は、下記のシートをご参考ください。
⑥告知・集客を行う
ウェビナーの準備ができたら、いよいよ参加者の集客です。告知は、開催当日の1ヶ月前が適切とされています。日程が直近すぎるとスケジュールが立てられないため、遅くても2週間前には周知しましょう。
代表的な宣伝方法は、5つです。ターゲット層や保有するハウスリストに合わせた手法を選びます。
①プレスリリース
企業が公式文書でメディアに発表する方法
②ソーシャルメディア
XやInstagramなどのSNSで情報を発信する方法
③メルマガ
メールで情報を配信する方法
④LP(ランディングページ)
Web広告ページで周知する方法
⑤コンテンツマーケティング
記事や動画などのコンテンツを作成し、公開する方法
申し込みがあった際は、メールで当日のURLを送付し、ウェビナー開催の1日前にリマインドを行いましょう。参加者が当日までに申し込んだことを忘れしまう、といったリスクを減らすことができます。
⑦事前リハーサルを行う
ウェビナー開催前は、本番同様の配信ツールを使用してリハーサルを行います。カメラや音声に不具合はないか、スライドは滞りなく進められているかを確認しましょう。
不備があった時は、早急に修正し、ウェビナー当日に備えます。初めてウェビナーを開催する方は、社内でロープレの練習をしておくと良いでしょう。リハーサルを終えたら、いよいよ本番です。
<講演練習に役立つロープレの解説はこちら>
⑧参加者のフォローをする
ウェビナー終了後は、講演内容に応じて参加者のフォローを行います。研修やイベントなどでアンケートを実施した際は、お礼と共に回収手順をメールで送りましょう。
営業を目的に開催した場合は、参加者は大切な見込み顧客です。期間を開けずにメールや電話でコミュニケーションを取り、案件化を目指します。参加者からの感想や意見は積極的に取り入れて、次回の開催に役立てましょう。
案件化に至らなかった見込み客は、育成対象として継続的な接点を心がけます。
<ウェビナー開催後のフォローコールを検討中の方はこちら>
ウェビナーを成功させるポイント
ウェビナーを開催しただけでは集客や見込み顧客の獲得はできません。成功させるために必要な3つのポイントを、おさえておきましょう。
有益な情報を提供する
ウェビナーを成功させるには、講演内容が重要になります。サービスの紹介や告知など主催者の伝えたい事柄のみを配信するのは、有益な情報とはいえません。参加者が求めているノウハウをメインに、発信しましょう。
構成に迷った時は、視聴者が課題に感じやすいことを取り上げて、解決策を提供していきます。
主催者の情報を掲載する
情報の発信元は、講演内容の信憑性にかかわります。例えば、事前情報がない人がアポイントの秘訣をテーマに語るのと、営業会社のトップセールスが伝えるのでは信頼度が変わるはずです。
会社概要や登壇者の経歴など、主催者情報は集客時に掲載しておきましょう。登壇する際は、演説を始める前に、主催者の自己紹介を行うのがマナーです。
参加者とコミュニケーションをとる
オンライン上で進めるウェビナーは、参加者の反応が見えないため、温度感が伝わりにくいです。一方的に話してしまうと、途中で離脱してしまう可能性もあります。
配信ツールのチャット機能を利用した質問タイムやアンケートなど、コミュニケーションをとる工夫をしましょう。講演中は、台本に視線がいきがちですが、カメラ目線で参加者と対話するイメージを心がけます。
また、笑顔でリアクションを大きめにすると、熱意が伝わりやすくなるでしょう。
ウェビナーを開催してリード獲得につなげよう
ウェビナーのメリットや開催の手順を解説してきましたが、いかがでしたか?一度に多くの人数を集客できるウェビナーは、見込み顧客の獲得に有効です。終了後は、参加者のフォローを積極的に行い、自社のファンを増やしていきましょう。
ウェビナー主催を考えている方は、開催までのプロセスをリスト化している、下記のチェックシートをご活用ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
IS factory magazine編集部です。2022年開設。
定期的にインサイドセールスや営業に関するノウハウを発信しています。