営業

営業がもっとラクになる!現場で使える営業フレームワークの基本と活用術【テンプレ付き】

営業
この記事は約10分で読めます。

「営業の成果が安定しない」「後輩にどう教えればいいかわからない」──そんな悩みを抱えていませんか?

提案資料を毎回ゼロから作ったり、商談の感触に一喜一憂したり。営業という仕事には、明確な“型”がなく、自分なりのやり方に頼る場面が多いのが現実です。
しかし近年では、営業活動を仕組み化し、誰もが一定の成果を出せるようにする「営業フレームワーク」の重要性が注目されています。

本記事では、営業経験や商材の種類を問わず活用できる代表的な営業フレームワークとその活用術を、実例やチェックリストとあわせてご紹介します。

 

こんな方におすすめ
✓ 営業に“型”を取り入れて再現性を高めたい方
✓ 後輩育成やチームの底上げを効率化したい方
✓ 成果が安定せず、営業のやり方に不安を感じている方

営業に役立つ情報が満載!

「アポイントが取れない...」
「営業人材を育てるのに時間がかかる」
そんなお悩みを抱えてはいませんか?

IS factory magazineでは、トークスクリプトや商談チェックシート、料金相場ガイドなどを無料でご提供しています。ぜひダウンロードして日々の活動にお役立てください。

1. 営業フレームワークとは?


営業フレームワークとは、営業活動における一連のプロセスを「見える化」し、誰が行っても一定の成果が出せるようにする“営業の型”のことです。多くの営業担当者が、自身の経験や感覚に頼って商談を進めていますが、それでは成果に波が生じやすく、再現性も育成もしづらいのが現実です。営業フレームワークを導入することで、属人性を排除し、安定的な成果を出せる営業体制を築くことができます。

 

型があると営業はどう変わる?

たとえば「初回訪問では何を聞くべきか」「提案時に伝えるべき価値は何か」といった行動が明確になります。これにより、個人の経験に頼らず、誰もが一定水準以上の営業ができるようになります。新人の即戦力化や、育成のスピードアップにもつながります。

 

見込み層にこそ必要な理由

今まさに営業に迷いや伸び悩みを感じている見込み層にとって、営業フレームワークは“成果を安定させるための武器”になります。時短勤務やマルチタスクで限られた時間しか使えない中でも、「なにを・どの順番でやればいいか」が明確になることで、無駄な工数や試行錯誤を減らし、結果に近づきやすくなります。

 

2. 代表的な営業フレームワーク5選【図解あり】


ここでは、営業現場で活用されている代表的な営業フレームワークを、それぞれ文章で具体的に解説したあとに、図解で簡潔にまとめて紹介します。

 

■ BANT(バント)

特徴: 予算(Budget)、決裁者(Authority)、ニーズ(Need)、導入時期(Timeline)を確認することで、顧客の導入可能性を判断できるフレームワークです。

活用事例: 展示会で獲得した新規リードに対し、初回商談でBANTの4項目を確認することで、その後の提案活動を効率化。たとえば「予算あり・決裁者確認済・ニーズ顕在・導入時期明確」であれば即提案、「予算未定・決裁者不在」の場合はナーチャリングに回すなど、判断の質が向上します。

向いている商材・業種: 高単価かつ導入意思決定に複数の関係者が関わる業界(人材紹介、IT導入支援、戦略コンサルなど)

関連記事:BANTCとは?5つの要素と実践的なヒアリング方法を解説!

 

■ SPIN(スピン)

特徴: Situation(状況)、Problem(問題)、Implication(影響)、Need-payoff(利益)の順に質問を行うことで、顧客の課題を深掘りし、課題解決の意欲を高めるフレームワークです。

活用事例: 業務効率化を検討している企業に対して、「今どんな方法で管理していますか?(S)」「困っている点は?(P)」「そのままだとどんな影響がありますか?(I)」と進め、「改善されるとどうなりますか?(N)」と話を深めることで、提案の必要性を自ら実感してもらえます。

向いている商材・業種: SaaS、ERP、BPO、業務改善コンサルなど、複雑で比較検討が多い商材

関連記事:【SPIN話法】でヒアリング力を強化。営業に必要なテクニックをご紹介!

■ FAB(ファブ)

特徴: Feature(特徴)→ Advantage(利点)→ Benefit(顧客の利益)という流れで説明することで、製品の機能だけでなく“顧客にとっての価値”までを的確に伝えられる構成です。

活用事例: 勤怠管理システムの場合、「スマホから打刻できます(F)」「現場での管理が簡単になります(A)」「管理部門の月10時間の作業を削減できます(B)」と順を追って説明すると、提案の説得力が増します。

向いている商材・業種: ITツールやクラウドサービスなど機能が明確で、他社との差別化に“利点・利益”の整理が重要な業界

 

■ AIDMA(アイドマ)

特徴: Attention(注目)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)という購買心理の流れに沿ったマーケティング・営業フレームです。

活用事例: 店頭販売や訪問営業などでは、まずチラシや話題で注目を集め(A)、体験談で関心を惹き(I)、製品の強みで欲求を生み(D)、印象的なキャッチコピーや資料で記憶に残し(M)、限定オファーで行動を促します(A)。

向いている商材・業種: 保険、教育教材、リフォームなど短期決着型のBtoC営業

 

■ AISAS(アイサス)

特徴: Attention(注目)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)という、インターネット上での購買行動を可視化したフレームです。

活用事例: SNSで話題の商品を見たユーザーが「気になる」と思い(A・I)、検索して詳細を調べ(S)、公式サイトで購入(A)、購入後にInstagramでレビュー投稿(S)するような行動が代表例。営業とマーケの連携に活用されます。

向いている商材・業種: D2C商材、サブスクサービス、デジタル教材、オンライン講座などWebでの情報収集と口コミの影響が大きい分野

営業フレームワーク比較まとめ


3. フレームワークを組み合わせて成果を出すコツ

1つのフレームワークで営業のすべてをカバーするのは難しいため、実際の現場では複数を組み合わせて使うのが有効です。営業フェーズに応じて最適なフレームを選ぶことで、顧客との関係構築から成約までの流れがよりスムーズになります。

 

SPIN+FAB+AIDMAの流れ

たとえば、初回訪問ではSPINを使って状況や課題をヒアリングし、提案段階ではFABを活用して商品やサービスのベネフィットを伝えます。その後、AIDMAを活用して「欲しい」気持ちを後押しし、クロージングにつなげるといった流れが考えられます。

 

現場で使える組み合わせ例

SaaS営業ではこの3つのフレームの組み合わせがとくに有効です。SPINで聞き出した「業務の非効率」という課題に対し、FABで「自動化により月10時間の工数削減が可能」とベネフィットを提示。さらにAIDMAで「導入後のイメージ」と「導入事例」を提示することで、顧客の記憶と行動を促進する、という活用例が挙げられます。

SPIN/FAB/BANTフレームワーク組み合わせまとめ図

 

4. 導入企業の成功事例


実際にフレームワークを取り入れた企業では、営業成果のばらつきが減少し、チームとしての底上げが実現されています。再現性が高まることで、育成や引き継ぎの効率も格段に上がりました。

 

仕組み化で育成が楽になった事例

とある人材業界の企業では、OJTにSPINとFABを導入したことで、入社3ヶ月の若手が提案資料を自力で作れるようになり、先輩のフォローも最小限に。育成コストが30%削減されたという報告もあります。

 

導入前後で何が変わった?

属人化が原因で「売れる営業」と「売れない営業」の差が激しかったSaaS企業A社では、営業フレームワークの導入で行動が標準化され、チーム全体の成約率が12%から24%に改善しました。

 

5. すぐに使える営業テンプレート&チェックリスト

営業フレームワークを学んだあとは、現場で活用することが成果につながります。この章では、明日から使える実践的なテンプレートを3つ紹介します。どれも短時間で活用できるよう設計されており、特に商談前後の準備や振り返りにおすすめです。

 

ヒアリング質問リスト(SPIN)

SPINの4要素(Situation/Problem/Implication/Need-payoff)に対応した質問例を事前に用意しておくことで、商談中の聞き漏れを防げます。

Situation(状況):
「現在、どのような業務体制で対応されていますか?」
「担当者は何名いらっしゃいますか?」

Problem(問題):
「その業務で不便に感じている点はありますか?」
「ミスや遅延が発生したことはありますか?」

Implication(影響):
「その課題が続くと、どのようなリスクがありますか?」
「他部門や顧客に影響は出ていますか?」

Need-payoff(解決後の利益):
「もし改善できたら、どのようなメリットがありますか?」
「時間やコストにどれくらいの効果が見込めそうですか?」

このリストを使うことで、商談の初期からニーズの深堀りがしやすくなります。

 

提案資料構成テンプレ(FAB)

提案資料を構成する際に「FAB」の流れで整理すると、説明の説得力が高まります。

Feature(特徴):
例:「自社開発のAIを活用した自動集計機能が搭載されています」

Advantage(利点):
例:「従来の3倍の速度で集計できるため、締め業務の負担が軽減されます」

Benefit(顧客の利益):
例:「月10時間の作業削減で、人件費を年間約60万円節約できます」

このテンプレを使えば、製品の「凄さ」だけでなく、「なぜ顧客にとって必要か」が伝わる提案が作れます。

 

振り返り用チェックリスト(BANT)

商談後の自己評価やチームでの振り返りに使えるシンプルな確認項目です。

Budget(予算):相手の予算感は確認できたか?
Authority(決裁者):意思決定者は誰か確認できたか?
Need(ニーズ):顕在/潜在ニーズの理解は深まったか?
Timeline(導入時期):次のステップの時期は確認できたか?

このチェックリストを使うことで、「今回の商談で何ができたか」「次回どこを深堀すべきか」が明確になります。

フレームワークにすぐ使える営業テンプレ&チェックリスト


6. 営業を仕組みで強くするためのポイント

営業チーム全体の底上げを実現するには、属人性を排除し、“再現可能な成果”を生む仕組みづくりが不可欠です。営業フレームワークの導入は、その第一歩となります。この章では、型をチームに定着させるナレッジ共有や育成手法を紹介し、誰もが成果を出しやすい文化づくりのヒントをお伝えします。

導入時には、「今のやり方を否定されたように感じる」「使いこなせるか不安」といった心理的なハードルがあるのも事実です。こうした不安を払拭するには、OJTや1on1の場で自然にフレームワークを取り入れ、小さな成功体験を重ねてもらうことが有効です。

社内に推進役を立て、ロールプレイでSPINやFABを活用するなど、現場での“実感”を重ねていくことで、仕組みが文化として根づいていきます。仕組み化の最大の利点は、成果の安定と育成効率の向上にあり、マネージャーにとっても評価や指導の基準が明確になるというメリットがあります。

 

ナレッジの共有文化をつくる

属人化を防ぐには、営業情報をチームで共有する仕組みが欠かせません。たとえば、Notionやスプレッドシートに「商談メモ」「ヒアリングログ」「受注につながったトーク例」を蓄積し、毎週の営業MTGで確認・共有するルールを設けることで、個々の成功体験をチーム全体の学びに変えることができます。

さらに「成約に至った会話の構成」や「失注理由と対策」なども記録しておくと、営業プロセス全体の質の向上に役立ちます。

 

1on1やOJTにも活用できる

フレームワークは育成の場でも有効なツールです。たとえば1on1の場で「SPINのIが浅かったが、Pで良い気づきがあった」と具体的に振り返ると、フィードバックが曖昧にならず成長実感が得られます。

また、OJT中にFABを使って提案練習を行い、上司が「このAdvantageは響いてなかったかも」と具体的に指摘すれば、改善ポイントも明確になります。フレームが共通言語になることで、育成の質とスピードが大きく変わってきます。

うれーむワークを活用したナレッジ共有の再現化の強化サイクル


7. まとめ|営業は“センス”より“仕組み”で伸ばす時代

営業フレームワークは、個人のスキルや経験に依存せず、組織として成果を出し続けるための仕組みです。「感覚営業」から脱却し、誰もが一定の成果を出せるチームを作るために、まずはテンプレートやチェックリストから導入してみましょう。

小さな一歩でも、「明日の商談でSPINのPを聞いてみる」「提案資料にFABを取り入れてみる」といった具体的な実践が、自分の営業スタイルを磨く第一歩になります。この記事が、日々の営業活動を見直すきっかけになれば幸いです。

関連記事:MEDDICの営業フレームワークとは?BANTとの違いやトーク事例をまるごと解説!

関連記事:営業戦略の立て方完全ガイド:競争に勝つための具体的ステップとフレームワーク

👉 営業の仕組み化・人材育成を支援する資料もご用意しています。
営業組織の生産性を高める資料を無料でダウンロードする

+ posts

IS factory magazine(アイエス ファクトリーマガジン)編集部です。2022年開設。
定期的にインサイドセールスや営業に関するノウハウ、セミナー情報を発信しています。

PAGE TOP