マーケティング領域では、「ファネル」という言葉を耳にする機会も少なくないでしょう。ファネルはビジネスの成長に欠かせない要素のひとつで、ファネルを設計することで効果的なマーケティング戦略が期待できます。
そこで本記事では、マーケティングファネルの基本から最新のトレンドまで、徹底解説していきたいと思います。
― こんな方におすすめ ―
✓マーケティングファネルについて学びたい方
✓マーケティングの最新トレンドを知りたい方
✓ インサイドセールスにマーケティング知識を取り入れたい方
マーケテイング部門における「ファネル」とは
ファネル(英:Funnel)とは、日本語で「漏斗(ろうと・じょうご)」を指しており、顧客がサービスを認知してから受注に至るまでを表したプロセスのことです。
マーケティング部門では「マーケティングファネル」、営業部門では「セールスファネル」と呼ばれています。
一般的なファネルは、大きく分けて4段階で構成されています。
1.認知
顧客が企業やサービスを認知する段階。
2.興味・関心
サービスに興味を持ち、詳しい情報を調べる段階。
3.比較・検討
集めた情報をもとに他社とサービスを比較し、導入を検討する段階。
4.決定
最終的にサービスを導入するか決断する段階。
「ファネル」と「カスタマージャーニー」の違い
ファネルとカスタマージャーニーは近しい関係にありますが、役割に違いがあります。
ファネルの役割は、顧客を最終的にサービスの導入に導くことです。段階に合わせたマーケティング戦略を考えることが、ファネル設計のメリットと言えるでしょう。
一方、カスタマージャーニーはサービスを導入する人物像(ペルソナ)を設定し、ペルソナから考えられる顧客の行動心理を考え、シナリオを設計することを意味します。
カスタマージャーニーはファネルよりも詳細に顧客を分析していますが、導入プロセスを可視化するという意味では同じであり、補完的な関係にあります。
3種類のマーケティングファネル
では次に、代表的なマーケティングファネルを3つご紹介していきたいと思います。
パーチェス(顧客獲得)ファネル
パーチェスファネルは、前述で解説した導入プロセス同様、「認知→興味・関心→比較・検討→決定」の4つの段階が軸にあります。
パーチェスファネルは、顧客の獲得を効果的に進めるためのフレームワークとして有名な「AIDMA(アイドマ)」をベースに作られました。マーケターは各プロセスを明確にすることで、認識段階では広告を打ち、検討段階ではコンテンツマーケティングに注力するといったフェーズごとの戦略を考えられるようになります。
インフルエンス(顧客維持)ファネル
インフルエンスファネルは、「継続→紹介→発信・拡散」と3つの段階で表しており、AIDMAの法則にデジタル時代の顧客行動を加えた「AISAS(アイサス)」を基本として作られました。
パーチェスファネルと異なる点は、顧客がサービスを導入した後の行動を示している点です。基本的なファネルとは違い、顧客が段階を踏むにつれて絞られるのではなく、広がっていくという三角形の図で表されています。
ダブルファネル(顧客獲得×顧客維持)
ダブルファネルは「パーチェスファネル」と「インフルエンスファネル」の2つをかけ合わせたファネルのことを言います。
両方をかけ合わせることで、新規顧客の獲得だけでなく、顧客のロイヤリティを上げ、口コミによって新しい顧客の獲得を導き出せるでしょう。
ダブルファネルは、長期的に顧客の価値を最大化させる重要な戦略のひとつです。
従来のマーケティングファネルが古いと言われる背景
代表的なマーケティングファネルを紹介してきましたが、昨今は「パーチェスファネルは既に古いモデル」と認識されるようになってきました。
その背景に考えられるのが、「デジタル時代の進化」です。
従来のファネルは、顧客が直線的に段階を踏むシンプルなプロセスが軸にあったため、順を追って進んでいくものとしていました。
しかし、SNSやオウンドメディアといったデジタルコンテンツが主流になってきたいま、顧客は様々な媒体を通して情報が入手できる時代となり、顧客が検討して受注に至るまでには多くのプロセスを踏まなければいけなくなってしまったのです。
これにより、一般的なファネルでは個別にマッチした最適な手法を提案することが難しくなってきました。
最新のマーケティングファネルとは
これからお伝えする最新のマーケティングファネルでは、前述の課題に対応し、現代のデジタル環境にも適応するよう設計されております。
マイクロモーメントファネル
マイクロモーメントファネルとは、Google社が提唱したファネルで、顧客がデジタルを通して様々な瞬間(マイクロモーメント)が受注に大きな影響を与えることを意味しており、これらを段階的に視覚化して設計されました。
マイクロモーメントファネルは、主に「知りたい(know)」、「行きたい(go)」、「したい(want to do)」、「買いたい(want to go)」の4つの段階に分かれています。
1.知りたい(know)
顧客が「情報を知りたい」といった瞬間のこと。携帯やパソコンを通じて自発的に調べることを意味する。
2.行きたい(go)
「家の近くのカフェに行きたい」などといった瞬間のこと。Googleでは、お店に行く前に店舗検索機能を利用したことがあると答えたモバイルユーザーは87%という結果が出ており、多くの人が検索機能を利用していることが分かります。
(参照:https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/app-and-mobile/what-is-micro-moments/)
3. したい(want to do)
顧客が「何かをやりたい・したい」と感じた瞬間のこと。例えば、「自宅 筋トレ 器具」と検索するユーザーの背景には、『自宅で筋トレがしたい』といった行動心理が読み取れます。
4. 買いたい(want to go)
「商品を購入したい」、「サービスを導入したい」という瞬間のこと。顧客が具体的に行動を起こす場面で、「商品が売っているお店に足を運ぶ」といった行動が考えれます。
Google社はこれらのマイクロモーメントを理解し、顧客にマッチした適切な情報やコンテンツを提供することを提唱しています。
顧客のモーメントが発生するタイミングを見極め、素早く情報を届けてPDCAを構築し、最適な戦略を設計することこそが今後のマーケティング施策において重要な戦略と言えるでしょう。
自社のサービスにマッチした最適なファネルを設計しよう!
今回はマーケティングにおける「ファネル」について解説していきました。マーケティングファネルは、ビジネスにおいて新規顧客を獲得し、既存顧客との長期的な関係を構築するための大切なファネルです。
しかし、SNSの普及によって誰でも簡単に情報を発信できる時代になってきたからこそ、人々のライフスタイルに合わせたファネルの設計が必要不可欠になってきました。
今回ご紹介したファネルが必ずしも自社サービスにマッチしているとは限りません。社会情勢と顧客のライフスタイルを分析し、自社とマッチした最適なファネルのカスタマイズをしていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
【その他マーケティングに関する記事はこちら】
IS factory magazine編集部です。2022年開設。
定期的にインサイドセールスや営業に関するノウハウを発信しています。