皆さん、こんにちは。
IS factory magazine編集部です。
心理学は、人の感情と行動を科学的に解明する学問です。顧客の課題に寄り添いながら商材提案を行うインサイドセールスでは、心理学を取り入れたアプローチ手法が導入されています。
相手の心理が理解できると顧客の視点で物事を考えられるため、信頼関係が構築しやすくなるのです。
本記事では、電話営業に役立つ心理学のテクニックを5つ紹介しています。成果に向けた対話スキルの強化に、お役立ていただければ幸いです。
―こんな方におすすめ―
✓ 営業電話に使える心理学を知りたい方
✓ 心理学のテクニックをトークに活かしたい方
✓ 顧客との信頼関係の構築に悩んでいる方
<インサイドセールスの営業スキルを高めたい方はこちら>
営業と心理学の関係
電話営業では、顧客のニーズを引き出すために心理学のテクニックが使われています。セールス担当者との関係性が確立していると、お客様から悩みを打ち明けてもらえることが多いです。
例えば、アポイントを取得できた音源は案件化に至らなかった音源より、通話時間が長い傾向があります。これは、セールス担当者が顧客との関係性を築き、課題や検討状況をヒアリングできているからです。
相手との信頼関係を構築し、潜在ニーズが明確になれば、成果に期待が持てます。そこで、顧客の心を開く手助けをしてくれるのが心理学です。顧客心理に基づいた営業手法で、提案力を高めていきましょう。
営業(新規開拓)に役立つ心理学5選
早速、営業に役立つ心理学とテクニックをご紹介していきます。
ハロー効果
ザイアンスの法則
返報性の法則
ドア・イン・ザ・フェイス
フット・イン・ザ・ドア
ハロー効果
ハロー効果とは、ある対象を評価する時に一部の目立つ特徴に引きずられ、全体の印象に偏りが生じる現象をいいます。物事を先入観やこれまでの経験で判断してしまう認知バイアスの一つです。
例えば、初対面の営業担当者の身だしなみが整っていると「この人は信頼できそう」と感じるのがハロー効果になります。反対に、寝癖がついた髪やしわしわのシャツなど身なりに不信感を覚えるとネガティブに作用することも。
ハロー効果は、功績を左右するほど影響力が高いため営業の心理学では重要視されています。印象をコントロールして、営業活動を優位に進めましょう。
【ハロー効果を用いた営業テクニック】
①身だしなみを整える
商談や定例前は、髪型、服装、メイクを整えます。オンラインの場合は回線の接続状況も確認しておくと安心です。
②レスポンスを早くする
早急な対応は、信頼感を高めます。顧客からの質問や資料送付、メールの返信は優先的に行いましょう。
③伝えたい事柄を強調する
サービスの強みを繰り返し伝える、資料で目立たせたい文字の色を変えるなど重要な事柄を強調します。同じ内容は、言い回しを変えて表現すると自然です。
<オンライン商談の身だしなみの解説はこちら>
ザイアンスの法則
ザイアンスの法則は、接触する回数を増やすと親しみや興味を持つようになる心理現象です。
電話営業では、初回接点時に口数が少なかった担当者が、追客をするうちに検討状況を打ち明けてくれるようになった事例が当てはまります。
初対面の方に提案をする機会が多い営業職では、警戒心を持たれることも少なくありません。商材への関心度が低い潜在層には、資料送付などの段階的なアプローチが効果的です。
【ザイアンスの法則を用いた営業テクニック】
①アイスブレイクを挟む
商談の序盤は、場を和ませるためにアイスブレイクを挟みます。緊張感が解けた状態で商材説明に入ると、警戒心が溶けやすくなるでしょう。
②段階的なアプローチ
営業の初回接点時は、担当者情報の聞き出しと資料送付の案内を徹底することが大切です。いきなり提案を押し入るのではなく、次回の接点をつくっていきます。
③期間を開けずに追客をする
アプローチする目安が決まったら、期間を開けずに追客を行いましょう。追客の際は、前回の対話内容をトークに組み込むと、親近感を抱きやすくなります。
<ザイアンスの法則をもっと詳しく知りたい方はこちら>
返報性の法則
返報性の法則とは、相手から何かをしてもらった時にお返しをしたいと思う心理効果です。
例として、「営業担当の方が丁寧に説明してくれたから」という理由でアポイントの承諾を得たケースが挙げられます。顧客が心地よく感じる応対を実践することで、返報性の法則は働くのです。
定型文で送っていた資料案内のメールに一言メッセージを加えるなど、誠意が伝わる言動を心がけましょう。
【返報性の法則を用いた営業テクニック】
①有益な情報を伝える
相手に価値のある情報を提供するテクニックです。導入事例や無料コンテンツなど、顧客が抱える課題の解決策を伝えることで、利益を与えます。
②個社別提案をする
顧客の状況に適したアプローチは、「自社の立場で考えてくれている」という熱意が伝わりやすいです。市場の分析や商材知識を身につけると、様々な活用方法を提案できるようになります。
③感謝を伝える
「ありがとうございます」という一言は、相手が好感を抱く言葉です。商談の時間をつくっていただいたお礼など、感謝の気持ちは積極的に伝えましょう。
ドア・イン・ザ・フェイス
ドア・イン・ザ・フェイスは、最初に「大きな要求」をして断られた後に本題の「小さな要求」をすると承諾してもらいやすくなる行動心理学です。営業の価格交渉で使われる場面が多く、相手の断りに対する罪悪感に働きます。
例えば、プランBの20万円の商材を提案したい場合。少し価格を引き上げた30万円のプランAを作成します。初めからプランAは難しいですが、「まずは、スモールスタートでプランBはいかがですか?」と提案すると、導入のハードルが下がった印象を受けるはずです。
最初のプランAを断ってもらうことで、本来の目的であるプランBを選択してもらいやすくなります。ドア・イン・ザ・フェイスは、顧客の満足度も高めるため、交渉の際に活用していきましょう。
【ドア・イン・ザ・フェイスを用いた営業テクニック】
①価格交渉は複数のプランを作成する
商談などの価格交渉では、複数のプランを提示します。初めにオプションが豊富なプランから紹介し、現実的なプランへと誘導していきましょう。
②アポイント断りの後に資料送付を提案する
電話営業の際は、アポイントを断られた後に資料送付を打診すると承諾を得やすいです。次のアプローチ機会を促すことは、リードナーチャリングに繋がります。
フット・イン・ザ・ドア
フット・イン・ザ・ドアは、初めに「小さな要求」を承諾してもらい段階的に要求を引き上げて本題を受け入れやすくする心理効果です。冒頭から契約を促すのではなく、無料キャンペーンなどお試し期間を設けるのもフット・イン・ザ・ドアの手法になります。
人は一度得た立場や発した意見を変えたくないという一貫性の心理が働くため、次の要求も承諾しやすくなるのです。営業の効果的な交渉方法としてトークスクリプトに組み込まれることもあります。
初回接点時はすぐに本題に入るのではなく「今、お時間よろしいでしょうか?」と、簡単な要求から対話を始めてみましょう。
【フット・イン・ザ・ドアを用いた営業テクニック】
①承諾しやすい要求から伝える
営業トークでは、アポイントを打診する前に承諾しやすい要求を伝えます。「商材についてご意見いただきたい」など、間接的な話題を交えましょう。
②無料キャンペーンやコンテンツを提供する
無料キャンペーンや自社メディアでのコンテンツ提供は、有力な手法です。「無料なら参加してみよう」、「資料ダウンロードならいいか」と導入までの小さな承諾を得ることができます。
③アポイントの心理的なハードルを下げる
アポイント=契約というイメージが強い電話営業では、心理的なハードルを下げる必要があります。提案の際は、「事例を紹介させてください」のように段階的な言い回しを意識しましょう。
心理テクニックを営業(新規開拓)に活かす手順
次に、心理テクニックを営業に活かす手順を3つお伝えします。架電や商談で実践できるように、練習していきましょう。
①トークスクリプトを作成する
まず、心理テクニックを組み込んだトークスクリプトの作成です。作成する際は、アプローチをする顧客像を明確にすると、構成が立てやすくなります。
「アポイントを断られた後の流れ」や「資料送付後の提案の流れ」など、対話シーンを想定してパターン化しておきましょう。トークスクリプトが完成したら、営業担当者全員に共有します。
<トークスクリプト作成のひな型はこちら>
②ロープレを行う
トークスクリプトの言い回しに慣れるためには、ロープレが効果的です。他者にフィードバックをしてもらうことで、改善点が見つかり、営業現場での対応力が身につきます。
また、相手の良かった点を真似ると、新たなテクニックが習得できる可能性も。実践練習を繰り返すと、苦手な返しや対話に詰まっていた個所も、自身の言葉で伝えられるようになります。
<電話営業のロープレ研修に役立つチェックシートはこちら>
③トークの分析をする
ロープレが終わったら、いよいよ本番です。架電や商談の音源は録音しておくと、トークの振り返りに役立ちます。音源は、事例を共有するために、営業担当者全員が聞ける体制を整えておきましょう。
対話内容を見直し、改善策を立てることで、トークが磨かれていきます。良かった言い回しは、スクリプトに付け加えると、営業担当者全員のスキルアップに繋がります。
おわりに
営業に使える心理学を解説してきました。新たなトークテクニックは見つかりましたか?
心理学は顧客との信頼関係を構築する手法として、活用されています。自社の商材を利用して顧客の課題を解決するには、同じ視点に立って提案していくことが大切です。
成果の創出に向けて、心理学を取り入れたトークテクニックを実践していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
IS factory magazine編集部です。2022年開設。
定期的にインサイドセールスや営業に関するノウハウを発信しています。