皆さん、こんにちは。
IS factory magazine編集部です。
インサイドセールスは、電話やビデオ通話などのオンラインツールを活用する内勤型の営業です。近年、働き方改革や顧客の購買プロセスの変化により、インサイドセールスを内製化する企業が増えています。
その一方で、「内製化したが効果的に運用できていない」、「成果が出ない」と、運営に課題を感じている経営者も少なくありません。
そこで今回は、インサイドセールスを立ち上げる手順と、内製化を成功させるポイントを解説していきたいと思います。
―こんな方におすすめ―
✔ インサイドセールスの立ち上げを成功させたい方
✔ インサイドセールスを内製化して、効果的な営業活動をしたい方
✔ インサイドセールスの運用方法を知りたい方
<インサイドセールスの導入ガイドはこちら>
インサイドセールスを内製化する企業が増加する背景
インサイドセールスを内製化する企業が増えている背景は、3つあります。
働き方改革
2019年に国から施行された働き方改革は、個人の事情に応じた柔軟な働き方の実現を目指す政策です。生産人口の減少や働き方ニーズの多様化など、日本が抱える課題を社会全体で改善していく取り組みをいいます。
営業職では、働き方の多様性を支援する手段として、インサイドセールスが注目されました。オフィスやテレワークで仕事ができる営業スタイルは、子育て・介護などで出勤が難しい方にも、働きやすい環境を提供することができるのです。
<インサイドセールスで働くママさんメンバーの記事はこちら>
信頼を重視した顧客ニーズ
HubSpot Japan株式会社が公表した第4回「日本の営業に関する意識・実態調査2023」では、買い手の購買意思決定における最重要要素は、信頼できる企業であることと伝えています。
また、「企業に対する信頼に繋がる要素」についてのアンケートでは
1位 営業担当者が自社の要望を的確に実行してくれる(59.4%)
出典:https://www.hubspot.jp/company-news/stateofsales-20230215?uuid=0d59abbd-690c-41b4-88c2-605e92b3fd56
2位 営業担当者が自社のことを真剣に考えてくれていると思う(53.6%)
3位 企業として言っていることと実際の行動が一致している(52.4%)
と、営業担当者との関わり方が信頼に大きな影響を与えることが分かりました。
アポイントの取得にフォーカスした数重視の営業方法ではなく、顧客の視点に立った提案力が求められているのです。ヒアリングを行い、事業課題に合わせた提案を行うインサイドセールスは、顧客ニーズをとらえた手法といえるでしょう。
深刻な人出不足
人出不足の深刻化が加速している現代では、「効率的な営業活動」の需要が増えています。少ない人数で、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整える必要があるのです。従来の訪問型営業は、直接顧客のもとに出向いてアプローチを行っていました。
オンラインツールを使用し、場所を問わずに営業活動ができるインサイドセールスでは、移動時間が不要に。また、活動状況を一覧で管理できるので、営業の進捗が一目で分かるようになります。
顧客の温度感に合わせた最適な提案が可能になり、作業時間が短縮されるため、効率的な営業活動が実現されるのです。
インサイドセールス立ち上げの流れ
インサイドセールスを内製化する8つの手順をご紹介します。この工程で、組織の土台を固めておくことが大切です。
①目的の明確化
まず、インサイドセールス構築の軸となる目的を明確にします。目的は、組織の方向性を統一させる重要な指標です。方向性が曖昧では、成功のために何を実行するのが最適なのか判断できず、運営が困難になってしまいます。
自社の営業組織の課題を洗い出し、インサイドセールスを立ち上げて解決したいことを把握しておきましょう。
<構築目的の例>
営業課題:顧客の新規開拓
インサイドセールスで解決したいこと:見込み顧客の育成・長期的な成果の創出
②商材の選定
目的を明確にできたら、営業する商材を選びます。立ち上げ時から、知見のない複数の案件を請け負うと、現場が混乱してしまう可能性も。自社の持っているノウハウや特徴を活かせる商材を選定するのがポイントです。
また、効果的なインサイドセールスを構築し、運営を続けていくためには、他社との差別化が必要になります。会社の強みや商材の市場、競合分析を行い、自社に最適な案件を選びましょう。
<商材選定の例>
自社の強み:豊富なITノウハウ
ターゲット商材:SaaS、HR、クラウドサービス
③営業手法の決定
目的と商材に合わせて、営業方法を決めましょう。インサイドセールスは、BDR(アウトバウンド)と、SDR(インバウンド)の2つの手法があります。
新規開拓や、休眠顧客へのアプローチなど企業から顧客へ発信する営業はBDR。資料請求やメディアからの問い合わせなど、顧客からの反響にアプローチする営業はSDRを選びます。
<BDRとSDRの解説はこちら>
④分業体制の確立
次に、インサイドセールスが担当する業務範囲の設定です。インサイドセールスは、見込み顧客の育成、アポイントの取得、商談、成約と非対面でできる営業活動を担います。
企業によっては、見込み顧客の育成~成約までを一気通貫で行うケースや、アポイントの取得までを業務範囲にする場合も。
また、リードの獲得を担当するマーケティング部門との連携も欠かせません。
一般的には、リード発掘~リードジェネレーションをマーケティング部門。リードナーチャリング~案件化をインサイドセールス部門と分業することが多いです。
規定はないので、自社の営業体制に合わせて、役割を明確にしましょう。リードの管理や引き継ぎ方法もマニュアル化し、組織全体で共有しておくことが大切です。
<分業体制で確認しておくこと>
✔ インサイドセールスの業務範囲
✔ マーケティング部門(他営業部門)の業務範囲
✔ リードの引き継ぎ方法
✔ リードの管理体制
⑤シナリオ設計
分業体制を整えたら、インサイドセールスのシナリオ(トークの台本)を考えていきます。見込み顧客に「伝えたい情報」と「提供するタイミング」をフローにしていくのです。
まず伝えたい情報をまとめるために、商材で打ち出したい企画や顧客が求めている内容を書き出します。
<伝えたい情報の例>
・期間限定のキャンペーン
・無料トライアル
・ターゲットに関連する導入事例
・ウェビナー情報
・お役立ちコンテンツ
次に、提供するタイミングです。商材に興味を持っていない方に、いきなり用件を伝えてもアポイントは取れません。トークの序盤では、簡略化した内容や、無料など興味を惹くワードを組み込みましょう。
顧客の温度感が高まったところで、詳細を話すと聞き入れてもらいやすいです。シナリオは、担当者断りや資料送付など、顧客のアプローチ状況に合わせて作成しておきます。
⑥KPIの設定
KPIは、Key Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標のことです。活動の成果を数値化し、目標に対してどのぐらい達成しているのかを判断します。
KPIは、営業プロセスの進捗が可視化できるので、課題の発見や改善策の打ち出しに効果的です。商材の特徴、リード数などを考えて、現実的な数値を設定しましょう。
作成したKPIは、エクセルシートやパワーポイントで全体に共有し、定期的に分析を行います。
<KPIの項目例>
・架電数
・アポイント数
・商談数
・成約数
・メール送付数
⑦ツールの選定・導入
インサイドセールスで使用するデジタルツールの選定と、導入を行います。見込み顧客を育成し、成果を創出していくには、顧客情報の管理が重要です。活動内容を入力し、リードをスコアリングすることで、適切なタイミングでアプローチができます。
履歴や音源など蓄積されたノウハウは、トークスクリプトやマニュアルに取り入れ、営業の質を高めていきましょう。
<インサイドセールスに必要なツール>
・SFAツール
・CTIツール
・CRMツール
・MAツール
<インサイドセールスに必要なデジタルツールはこちら>
⑧人材の確保と育成
最後は、インサイドセールスに従事する人材の確保と育成です。インサイドセールスは、オンラインツールを使用し、言葉で顧客とコミュニケーションを取ります。メール・電話・ビデオ通話などのPCスキルやトークスキルが高い人材は強みになるでしょう。
管理者は、マネジメント経験のある方や数値分析が得意な方、自発的に行動できる方が向いています。事前に研修を行い、商材のインプットやトークの練習、ツールの操作方法など、実践的なスキルを身につけます。
<インサイドセールスに向いている人材>
✔ メール・電話・ビデオ通話を使用できるPCスキルがある
✔ コミュニケーション能力が高い
✔ 楽観主義、行動力、継続力がある
<インサイドセールスの管理者に向いている人材>
✔ マネジメント経験がある
✔ 数値分析が得意
✔ 自発的に行動できる
内製化を成功させるポイント
インサイドセールスを構築するだけでは、継続的な成果は見込めません。商況を分析し、発生した課題を改善していくことが重要です。そこで、インサイドセールス内製化を成功に導くポイントをご紹介していきたいと思います。
事例の共有
朝礼や夕礼、1on1など、案件ごとに活動内容の振り返りができる場を設けましょう。成功事例は積極的に取り入れ、発生した課題はチーム全体で対策を考えていきます。他のメンバーの事例をインプットし、営業スキルの向上を目指します。
<振り返りの事例>
課題
・担当者(決裁者)に繋がらない
対策
・担当者(決裁者)の在籍日を聞く
・リストの優先順位を決める
・架電数を担保する
・接続率の高い時間(コアタイム)に注力する
<1on1の解説はこちら>
マニュアル化
インサイドセールスで使用するツールの操作方法や成功事例は、誰もが再現できるようにマニュアル化していきます。営業フローやトークスクリプトが備わっていれば、新人教育にも役立つでしょう。作成したマニュアルは、すぐに確認できるよう、格納場所を固定しておきます。
<マニュアル化するべきこと>
・トークスクリプト
・オンラインツールの操作
・勤怠管理
・営業フロー
ロープレ・架電音源のフィードバック
研修や新しい商材の営業を行うときは、ロールプレイングを実施しましょう。他のメンバーからのフィードバックで、自身では気づかなかった提案方法が見つかることも。
架電音源は、オンラインツールで格納し、いつでもメンバーが聴けるよう整備しておきます。経験を積んだコールマーケターの音源は、人材育成にも効果的です。アポイントの音源は、全体に共有し、マニュアルに反映させていくのも良いでしょう。
<ロープレ活用シーン>
・新人研修のプログラム
・新規商材の営業
・商談前の練習
・トークスクリプトの改定
<インサイドセールスのロープレ研修はこちら>
まとめ
インサイドセールスを立ち上げる手順と、内製化を成功させるポイントを解説してきました。
信頼を重視した顧客ニーズへの対策が求められている現代の営業組織では、インサイドセールスの重要性が高まっています。インサイドセールスを内製化し、活動内容を分析・改善することで、効果的な組織が構築されていくのです。
目的を明確にして、自社の体制に合ったインサイドセールスを構築していきましょう。自社の営業体制に悩まれている方や立ち上げ支援をご希望の方は、お気軽にお問合せください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
<インサイドセールスの導入形態でお悩みの方はこちら>
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定期的にインサイドセールスや営業に関するノウハウを発信しています。